第1回高知家統一基本ケアセミナーフォーラム~高知版地域包括ケアシステムの構築を考える~【参加報告】
患者・利用者さんの拘縮・褥瘡・皮膚損傷、ねたきりの原因が・・・
人の手による「抱え上げ・引きずり」という現実
ベッド上の患者・利用者を車イスに移乗するとき
看護介護の現場や養成学校では、膝と首に手をかけて、臀部を軸に、クルりんと身体を起こすことが当たり前のこととして、先生から生徒に、先輩から後輩へ教えられています。
褥瘡(じょくそう)は、仙尾骨など骨部にできやすいはずなのに、臀部にできてしまうのは、間違った介助技術が招いたものです。
この事実を看護介護現場の専門職はどのように理解しているでしょう・・・。
熱心で思いやりのある看護介護をしているはずなのに
自分の知識と技術が間違ったものであること 拘縮(こうしゅく)や褥瘡(じょくそう)が自分のせいであること
ねたきりや感染症の原因になっていること そして、自分の腰痛の原因になっていること
すべてが自分の間違った知識と技術が原因にあること
上記の写真は、高知県が作成したパンフレット「ノーリフティングケア宣言」です。 このパンフレットは10ページ
「移乗や介助技術、適切な姿勢」を写真と解説付きで分かりやすくまとめています。
現場のスタッフに、「やってはいけないケア」と「やるべき正しいケア」をしっかり伝えられる内容になっています。
前置きが長くなりましたが、 2018年4月7日(土)高知県で行われた勉強会に参加しました。
第1回高知家統一基本ケアセミナーフォーラム
~高知版地域包括ケアシステムの構築を考える~ 主催は「高知家統一基本ケアセミナー普及委員会」
事務局団体は「一般社団法人ナチュラルハートフルケアネットワーク(ナチュハ)」です。(ナチュハの先生方には本当にお世話になっています) ※セミナー当日は、写真撮影が禁止でしたので写真はありません。
人口減少率が日本でトップの高知県 少子高齢化の問題は深刻です。 この現実を直視し 医療・介護・福祉の人材育成システムが構築されてきました。 いまや高知県は全国トップだと思います。 少なくとも徳島県とは、月とスッポン 天と地ほどの差を感じています。
「高知家統一基本ケア」とは?? ☆どんな状態でも(障害の有無や重症度にかかわらず) ☆どこで暮らしていても(地域・病院・施設・在宅の違いは関係なく) ☆人としてあたりまえに尊厳をもって豊かに暮らすことができる高知県 これが目的です。
この目的を達成するために高知県で医療・介護の人材を育成すること。
(高知家統一基本ケアパンフより抜粋)
その根幹となるツールは、ノーリフティングケア(ノーリフト)です。
専門職の育成のため、自己研鑽のために 全国どこでも熱心に「専門的な知識・技術」が学ばれています。 それなのに「現場に反映できない」という課題もあります。
優秀な人材を育てるには情報を多く伝えるだけではダメ 知識や技術の整理ができない 忙しい現場では優先順位が分からない という問題に気づき
これまでの研修方法で問題点を発見 「やってはいけないこと」 「何から始めればよいのか」 この最低限の2つの情報をきちんと伝えることです。
🔴高知県のノーリフティングケアの初期研修で最も重視していることは 「伝えるべき知識・技術の整理」を行い、最低限の情報をシンプルに伝えることです。
【高知家統一基本ケアキャリアパス】 1.ファーストステップ(1年目)
2.セカンドステップ(1~3年目)
3.ケアリーダー・チームリーダーステップ(チームの教育指導と現場指導、人材育成ができるレベル)
4.マネジメントリーダー(地域活動ができ組織全体の体制づくりができる)
5.トップマネジメント(組織全体の管理・地域活動リーダー)
こうした各レベルに応じた研修を高知県内を6つの地域に分け、1年間で4273人(H29年度)が受講しています。
更に、この研修に参加した専門職が自分の病院・施設のそれぞれの現場で伝達がされていることは高知県の宝物です。
【ファーストステップ受講者の感想】
自分のやっているケアが悪いと分かっているのに、今まで良い介護方法がわからなかった。 「やってはいけないこと」を自分の身体で体験できた。 不良姿勢がしんどい、つらいことがわかった。 利用者さんの恐怖感を感じることができた。 オムツの当て方次第で良い姿勢がとれることが分かった。などなど
今日のセミナーは、地域包括ケアシステムの「高知県版」を学びにきました。 「介護の人材育成と定着、ケアの質向上」のシステムづくりはすばらしいです。
高知県は「ノーリフティング宣言」を行い人材育成と「ケア向上」に着手しました。 他の自治体は、介護や看護の人材育成は、民間に丸投げのアウトソーシングです。
高知では、「ノーリフト」のメリットを理解し、介護の人材育成のためノーリフト普及と定着をする県予算を前年度から倍化させて、3364万円を確保し介護現場を応援しています。
高知県は介護の担い手となる人材育成を公的に支えています。 「ノーリフト」を理解し活用できる人材を育成することが、介護を必要とする方とその家族の人権・尊厳を守ることにつながっています。
介護をするなら高知 介護をしてもらうなら高知 介護現場で働くなら高知 というのが、今日のセミナーを受講した私の感想です。
徳島県でもノーリフトを普及させたいです。そのための準備をすすめています。
本日のセミナーの本題「地域包括ケア」では意図的に隠されている問題
見えにくくされている問題として。「貧困」があります。
地域包括ケアシステムの制度では救えない住民たち
「貧困問題」は、地元で、わたしたちが追求していく必要性があります。