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「腰痛労災ゼロ」実現めざす徳島健生協労働組合のとりくみ

徳島健生協労働組合は、「腰痛労災ゼロ」を実現するために職場の労働安全衛生委員会を活用してノーリフト導入を提案しています。

2018年1月20日に、徳島市ふれあい健康館大ホールで、「徳島県民医連2017年度医療介護活動交流集会(主催:徳島県民主医療機関連合会)」が開かれました。研究発表会では、労働安全衛生委員会の労働組合側委員が中心となって、ノーリフトの意義と魅力を伝える発表を行いました。また、集会の記念講演の講師に高松協同病院の北原孝夫病院長が招かれました。

徳島健生協労組の腰痛予防・ノーリフト導入のとりくみ

腰痛による労働災害をゼロにすることは、労働安全衛生委員会の大きな役割です。徳島健生協労組は「腰痛労災ゼロの」と「ケアの質向上」を実現に向けて、四国各地で開かれている「腰痛予防ノーリフトセミナー」に、毎回のように組合員を送り学習を重ねてきました。

 徳島健生協労働組合の同法人は、2019年度にセンター病院の徳島健生病院(184床)を新築オープンする予定です。労働組合は、新病院建設に合わせてノーリフト導入を法人理事会に提案中です。

 新病院が地域住民から選ばれる「ケアの質の向上」と医療・看護現場の労働環境を改善することが目的です。痛み止めを服用し、腰痛で苦しんでいる職員にとって、腰に負荷がかからないような働き続けられる職場、魅力のある職場への改革にチャレンジしています。

2018年1月20日開催、徳島県民医連2017年度医療介護活動交流集会(主催:徳島県民主医療機関連合会)」でのノーリフト研究発表のポイントを紹介します。

演 題「看護介護の労働による腰痛離職・休職をなくすために」

発表者 徳島健生病院労働安全衛生委員会 労組側委員 達田瑞穂(理学療法士)

(1)はじめに ~異常に多い医療・介護・福祉産業の腰痛労働災害~

 看護・介護の職場では腰痛に悩み、離職に至るケースが後を絶ちません。当院でも例外ではなく、少なくない職員が腰痛に苦しみながら働いています。看護介護の職場で多発し、慢性化している腰痛は、ほとんどが労働安全衛生法等で禁止されている重量を人力に頼った「抱え上げや引きずり」で発生しています。

1)腰痛を発症し困っている職員が、どこの部署・職場・職種に何人いるのか? 

2)腰痛を発症した原因を当事者や職場責任者がどのように認識しているのか?

3)その職場環境がどのような状況なのか? 

4)過去に腰痛によって離職した職員が何人いるのか? 

この4つの角度から職場環境を分析し、原因解明を行い、対症療法ではない、根本的な改善の方向性を示すことが、労働安全衛生委員会に求められることを課題にあげています。

(2)ノーリフト導入は「マネージメント力」が最大のポイント

1)第1段階でめざすこと

「ノーリフト」を導入することによって得られるメリットを法人トップが理解するところから始まります。  徳島健康生協理事会は、2017年11月26日に労働組合の提案に応える形で「看護・介護職員への腰痛対策の必要性は、貴労組と同様に考えています。その選択肢の一つであるノーリフトポリシーについて、取り入れられるところは現状可能な対策も進めており、学習会などへの実施・参加については、理事会として後押ししていきます。」との回答を行いました。 

2)第2段階でめざすこと

看護介護現場のスタッフが「小さな成功体験」を繰り返し経験することをめざしています。

 現場で、電動ベッド、スライディングシート・ボード、肘掛け跳ね上げ式車いす等を活用することによって、患者に残された力を最大限活かしながらも、皮膚損傷を予防し、さらには拘縮の改善、ADL自立度の改善を体験すること。そして、職員の腰痛を劇的に減らすことを実感していきます。

3)第3段階で起きる問題点の数々

必要な経費の問題です。これからの課題ですが、リフト機器のレンタルやリース制度を活用して、安価な経費で経験を重ね、技術を磨くことを進めていきます。

 この段階で必ず現場職員から強い批判が多発してきます。忙しい現場では、腰痛に困っていない職員や移乗時の介助技術を持っている専門職らがその筆頭になります。こうしたときに管理部のマネージメント能力が問われてきます。

 2017年の秋ごろから徳島健康生協はノーリフト導入への道を踏み出しました。これからもう一歩踏み込み、新病院に必要不可欠な「医療構想」に位置づけ、職場でリーダーシップを発揮して、ノーリフト導入と定着をすすめる人材育成をすすめることが重要です。

(3)労働安全衛生委員会主催「第1回ノーリフト院内研修会」を開催します。

徳島健康生協院内研修「第1回ノーリフトセミナー」

日時:5月14日(月)13:30~15:00 

場所:徳島健生病院理学療法室

講師:井下庸祐さん(理学療法士・高松協同病院の腰痛プロジェクトチーム事務局長・香川民医労執行委員長)

内容:高松協同病院のノーリフト導入の取り組み紹介、スライディングボード・スライディングシートを用いた実技研修

(4)労働組合がノーリフト導入でめざす目標    「強引な人力での介助」を禁止し「ノーリフト」で得られるメリット

1)職員の腰痛が激減し、魅力ある職場に生まれ変わります。

2)知識のある専門スタッフから選ばれる医療機関・介護施設となり人材確保で有利になります。

3)患者利用者のADLとQOLが改善します。

4)移乗時の事故や皮膚損傷がなくなります。(リフト機器導入初期は要注意)

5)移乗時にリフトを使用することにより介助側の手技を統一することが可能になります。これにより患者利用者の移乗時の不安と過緊張を解消することができます。

6)ノーリフトの定着は、地域で患者や家族から選ばれる医療機関・介護事業所・介護施設につながります。

7)職員の腰痛がなくなり、患者利用者のADLとQOLが改善すれば国民全体の医療費負担が減少します。オーストラリア政府が公式に発表しています。

徳島健生協労働組合は、患者・利用者さんの人権を守り、腰痛で苦しんでいるスタッフと一緒に、ノーリフトの知識と技術を学び、実践して行くことで、夢と希望を持ってもらいたいと頑張っています。

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